クロユリ――栽培は最も困難

本州のクロユリは高山植物で、高山植物中最も栽培法は困難とされる。普通に市販され又栽培されているのはチシマクロユリである。両方共にユリの仲間ではなく、バイモというユリの仲間で、鱗片は捻珠状でありくずれやすい。チシマ系の方が花色は茶黒系であり、大型となり栽培も容易で北海道の東北部に多く野生してその鱗茎は原住民の食料であった。普通の圃場での大栽培大増殖はむずかしい方のユリであるが、野生地で大球だけを休眠期に掘って採取してくると、残った中小球が2〜3年後に大きくなっているという次第。従って北海道の園芸的見本で球が土産物に売られていたり、切り花用の球としても扱われているのである。
チシマクロユリの栽培は夏の前半は日がよくあたっても良い。2年間くらいは水苔単用の植え付けでもよい。前回のユリの植えかたでもよい。余り肥料が多くないことと排水の良い事が必要で、少なくも2年に一回は改植した方がよい。
ユリ類の総括としてヒメユリとスカシユリは日当りが夏までは根元まで良いことが必要であるが、他のユリは大体根元へ日があたって地温が高くならない様な所が良く、日当りが良すぎるとバイラス病になりやすい。球根は球底が地表より15センチ以上深い方が良い生育をする。茎の上部は夏までは十分日があたる方が良い。2〜3年毎に改植を要する。
   (辰野日報・昭和61年6月29日掲載)

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