ササユリ[3]――バイラス病に弱い

ユリ類はバイラス病に非常に弱い。そして球根の下やまわりに腐植質があるとミミズ等が着いて根を腐らせる事が多い。それでユリの世界的権威者の清水基夫先生と鎌田氏の研究によるユリの植え付け法を伝授する。
ササユリの露地植えは地表の地温のあがらぬ所に15センチ以上に掘って心土を出し、今までに掘りかえした事のある所では更に掘って新鮮な赤土を5センチくらい敷く。鉢植えの場合は深鉢底に赤土をつめて、その上に鱗茎の下部の吸収根のある球はそれを拡げて球根の見えなくなるまで赤土で覆ってしまう。それからその上を培養土で埋めるのであるが、肥料分の少ない腐葉土を混ぜるだけで、化学肥料等をやってはいけない。特にバイラスのおそれのある場合には陶芸用の粘土をボタリボタリくらいに練ったものに球を入れて、球の全面を粘土で覆った状態にしてから赤土で埋める様な形で植えつけるのがよい。こうやって植えて見ると、なるほどユリはうまく生育する様である。
なおバイラスのおそれのある球根はスカシユリを除いては直射日光がさえぎられる様な明るい木蔭が一番よいようである。テッポウユリや新鉄砲ユリは種子で栽培され、せいぜい2年くらいで切り花としバイラスにかからぬうちに捨てるのが普通。ヒメユリは山畑の北向き斜面で地表に他の草木のない所がよく生育するのは参考にしてもらいたい。
クロユリの栽培はまた違う。
   (辰野日報・昭和61年6月22日掲載)

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