洋ラン[1]――シンビジュームの植え替え

そろそろシンビジュームの植え替えの時期となった。今年求めてきたものはまだ1、2年は植え替えの必要はない。根が鉢の縁より盛りあがり、葉の基部の茎が鉢土の上に出てきたら、ひとまわり大きな鉢に植えかえたり、更に大株は分株する。葉の基部の外側に先のとがった新芽が出てくるころの植え替えがよい。まだ戸外の温度は低いので、外には出さないように。大体花が終わってから1、2カ月後に植えかえす。新芽を早くのばさぬと今秋のつぼみの形成がおくれる。そのためには夜の気温が6月か9月の夜温くらいが必要であるから、戸外に放置するなどもってのほか。
植え替えで重要なのは現在の葉の基部のふくらんだ所が大体鉢縁より低くなる程度。植え込みには水苔とか粗い腐葉土に大粒の軽石、素焼鉢や練瓦のくだいたもの等がよい。排水の良い事と保水のあることが大切。変色した古根は総て切り捨てる。折れた根は先が駄目になる。植え替えの前は灌水せず、根が乾き気味の方が鉢から抜くのも容易であるし、根も折れにくい。株が大きくなって抜けぬ時は鉢を割る。植え替え後数日は灌水せず、日にあてない。
分株の際は一昨年の古茎を必ずつけておき、その古茎に葉があれば切り落とさぬこと。その前の年の古茎バックバルブは一茎毎に切り離し、下3分の1を水苔巻きにして小鉢に植えておくと成績が良ければ3年目に咲く。
   (辰野日報・昭和61年4月18日掲載)

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