せんてい[5]――幹枝の整理を優先(1)

せんていをはじめる時まず前述の通り大枝の整理をした後、残った太枝に真夏直射日光が当たるようなら、上の方の枝を誘引して日焼防止をする。
せんていの細部はその後でやる。枝先からせんていをはじめると枝くばりに大穴があいてしまうことになるので、必ず太い幹枝の整理を優先して行う。
せんていとは全部の枝先をいくらかずつパチンパチン切るのが本筋ではない。今年のびる枝が重ならない様な枝の間隔を見越して、まず上下左右の間隔をみて中小枝を整理する。上の方の今年の新枝が長くのびるので、下の方の新枝へ日が少なくも50%は射し込む様な間隔をとった枝くばりで、せんていを完了する。特に樹体を低く作りかえたい時は、下の太い幹枝に日焼けを起こさぬ程度で、出来るだけ直射日光が射し込む様に細部のせんていまで配慮したい。
果実を収穫する木と花を見るだけで良い木の1〜2年生の部分のせんていは、多少違ってくる。そこで大切になってくるのは外見上ふくらんでいて花芽と葉芽がすぐ見わけの出来る芽と、一寸見ただけでは花芽があるのかどうかわからないカキやクリのような、新しい枝がのびてから、その葉腋に蕾が見えてくる植物がある。この蕾の出来るのはやはり前年の夏秋で、唯今の状態では今年のびる枝が短縮して、冬芽の中におさまっている状態であり、芽先が丸く蕾を内蔵しない芽先の尖った葉芽と区別できる。
   (辰野日報・昭和61年3月?日掲載)

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