ハギ[2]──小型種は風流

この辺の庭に美しく咲いているハギは茎の長く伸びるのはミヤギノハギ、茎がせいぜい2メートルくらいの紅紫色のがヤマハギ、白い花の房になって咲くのが学名はわからないがシロバナハギと考えればよいと思う。8月の盆前から山で咲いているのはキハギが多く、これは栽培してみてもあまり美しくない。
さてハギを植えようとなると、盆栽屋さんではヤクシマハギという小型種を扱っている所がありこれは小型種で開花期も長く風流である。普通には前述の種類は株分けで増やす。若い芽を挿し木することも出来る由。株分けは早春に昨年の古い茎の根を掘って見ると地際か地中の部分に生きている芽があり、昨年伸びた部分に根の出ているのがあるから、その下から切り取って植えればよい。大古株でゴツゴツした株が露出しているものはその下の太い根を少しでもつけて切り取って植える。前年の初夏までに20センチほど土寄せしておくと春になれば前年の茎の下端がみな発根しているので茎数だけ苗がとれる。元株からは下に陰芽があって、いくらでも芽を吹いてくる。
種子をとってまいても生える。たいがい小さなさやに一粒入っている。さやごとまけばよいが、たいがい1年では咲かない。私のところではシロバナハギの実生から選別した花が大きく密集してにぎやかに咲く豊秋と名付けた新しいシロバナハギができている。
   (辰野日報・昭和60年9月13日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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