ハギ[1]──関西はヤマハギ

秋の七草のハギはこれから開花期に入る。日本産の普通のハギが6種とメドハギの仲間が6種。メドハギの仲間は目立たない花が多く、メドハギがまれに生け花に使われるだけで、可愛らしいアキエハギは本州中南部以南の産。古来ハギノハナとして取り扱われてきたハギは前の6種類のうちの一つ。この辺の山にあるハギはキハギ、茎は木質化したかん木状で、庭に植えられることが少ない。絵画や庭園に多いのはミヤギノハギで、茎は長く伸びて石垣の上などから垂れると5メートル以上となることがあり、花の色は紅紫色と白、開花期間は夏から秋の末まで最も長く開花する。関西で主に栽培されているのはヤマハギで、シロバナハギは全国的に見られる。
ところが弱ったことにハギにはどの種類にも白花があるし、シラハギとシロバナハギの学名は混乱していて、この辺に栽培の多い白い花のハギの学名にどれを使ってよいのやら私にはわからない。ヤマハギとミヤギノハギの白花変種でなくて、おそらくは朝鮮産の渡来種だと昔から考えている。というのはこの辺のシラハギは大きく穂になって咲くが、ヤマハギとミヤギノハギは枝の途中の葉の脇から咲きはじめる。書いてある本の本文から写真までが混乱しているので、全く始末が悪い。方々の地方の植物を調べた調査書や報告を見ても本物かどうかがあやしいのであるからどうしようもない。
   (辰野日報・昭和60年9月6日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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