ギボウシ[4]──毎年株分けを

ギボウシの大型種は太い肉質の短い茎が年に1節ずつ出来、花の咲いた茎はその周りに、花の咲かない芽はその中心と周りの葉柄の内側に翌年の芽ができる。小型種には太い茎が出来ず新芽は横に地下茎のようにのびて、その芽の先に翌年の芽が出来る。芽数と芽の大きさはその株の栄養によって異なる。普通、前年の1芽から3〜5芽と小さい発育してこない芽が2〜3芽できる。古株になると大きな芽は少なく、陰芽の数は少なくなる。普通は前年の芽を標準にして切り分けるが、至急増殖したい場合は縦に切れる刃物で1芽ずつ切り離す。細茎のものも同様に。2、3年前の古茎も丁寧に扱うと休眠芽が発育してきて翌年は良い株となる。2、3年生の古茎はバックバルブと言うが、夏の株分けの場合は弱っていて良い芽が出ない。毎年、株分けをしないと古茎と根の塊となって株分けにも苦労するし、茎葉も大きくなりにくいし、それほど株は大きくならない。弱い園芸種の中には3年に一度は株分け改植しないと病気になったり、株が地表に浮き、衰弱して絶えることがある。特に鉢植えは2年に一度は改植する。
野生状態では密林の中にほんの1、2本の株で生育しているものも日の当たる所に植えると猛烈に大きくなることがある。やはり葉のある時期に全くの樹陰になる所では生育が悪い。家の北側や絶壁の北面でも日本では夏の朝と夕には2、3時間は日が当たるし反射光でも育つので住宅や造園地のどこでも育つ。
   (辰野日報・昭和60年8月9日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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