ギボウシ[2]──変化が多く楽しみ

ギボウシは葉を観賞するものが多い。大葉種は草丈1メートルを超え、広卵形の葉身が50センチにもなるものから、小さいものは済州島のベヌスタ種で草丈10センチ位でかわいらしい。露地植の場合と鉢作りではこれが同一種かと思われるほど姿が異なってくる。大きく作られた方が美しいもの、小さく作るほど美しいものがあり、広い庭では自由に大きくして、大型種、中型種と小型種を組み合わせて楽しむのが良いし、総てを鉢植にして楽しむ法がある。小鉢で作るほどかわいらしく美しい種類がある。小作りにすれば3.3平方メートルで50種以上を作ることができるが、大型種は矢張り地植にして十分に肥培する方が見ごたえがある。肥えた大きな苗から小鉢作りはすぐには出来ない。前記のベヌスタを葉長2センチの小作りにするには3年ほどかかる。
花は最も早い種類は5月末、遅いものは9月下旬で、多くは7〜8月に咲く。花色は青系が多い。野生種には白は少ないが中国のタマノカンザシは純白で大輪でしかも有香のため欧米では品種改良の材料となり、淡紫のハニーベールスという有香種があるが、母種のような庭一杯に香るほどではない。信州の夏の高原をかざるコバノギボウシは山では紫で美しいが里で栽培すると色がぼやける。此の種の園芸種の葉の縁の白い斑となっている文鳥香は肥培しても小鉢でも鮮やかな紫青色である。花の咲き方も花穂と共に変化多く楽しみ方の一つである。
   (辰野日報・昭和60年7月25日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

あなただけの大切な本を作ってみませんか―中央印刷がお手伝いいたします

箔を使った「風林火山」の扇子をつくりました。ご覧下さい。

園芸事はじめ/信州でガーデニングを楽しむためのエッセイ集