秋霜とキウイフルーツ──涼しい所で追熟を

上平出と上野の間のオダワラ地籍は、この近くで一番早く霜が来、平出法性神社の祭り10月1日には、例年霜が必ず来てサツマイモの葉は真っ黒に枯れる。辰野平出の平地のサツマイモは10月半ばには霜にやられ、種芋の貯蔵は次の霜の15日前後にはしなければならなかった。最近20年は霜がおそくなり10月下旬で、強い霜は11月に入る。
その直前に収穫すると味のよいキウイが収穫できる。秋の霜は最初のが凍害を色々の植物におこす。その翌日は弱い霜か霜はなく、それから数日霜はない。4〜5日の無霜で、それから毎朝霜が来るのが近年の通例である。
ところが、昨年は最初の霜が強く、キウイの葉はほとんどやられた。キウイの実も一部凍って完熟しないうちに収穫ということになり、全く味のないというより、ていねいに完熟作業をしても食欲をそそる特有の緑色の果肉さえ楽しむことはできなかった。
今年も早く霜が来て、キウイの上面の葉は霜にやられた。女性群はみんな収穫してしまったが30日までは下の葉は元気でおり、31日朝の霜でほぼ全葉が凍り、主力の葉は落葉した。30日にとった残りの実が一番完熟してよい味と肉質と思う。前冬の低温で方々のキウイのつるが枯れ、今秋も早霜。早霜、寒冬の長期周期のはじまりか。やはり、当地はキウイの適地ではない。今年収穫できた方は、涼しく凍らぬ所で11月末まで追熟してから味わってほしい。
   (辰野日報・昭和59年11月10日掲載)

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