ホテイアオイ[2]──富栄養水域に育つ

ホテイアオイは熱帯性の浮水植物で、高温で富栄養水域によく育ち、春の一株が秋には11、2アールにも増えます。信州の様に寒地では、霜に当たると凍死して軽くなるので、水からあげて水を切り、カラマツ林に捨てると大変な森林施肥になります。しかし、名古屋市で大きなため池に繁茂しすぎたのを、9月中旬に片付けたら300万円余もかかり困ったという話があります。諏訪中同級で化学に詳しい神戸君は、あの汚なかったため池の水が一夏で、300万円の費用で澄んだのだから大安がりと、ホテイアオイによる富栄養水処理に大賛成して、宣伝してくれています。
ホテイアオイは当地では、霜にあわぬうちに一部を引き上げて、冷凍魚の輸送箱にでも入れ、凍らぬ所で越冬させればよいです。5月の中旬にまた広い池に出せばよいでしょう。鉢の底に土を入れ水を張っておくと、水だけよりよく育ちます。ちょっとやせている方が6月下旬から秋まで良く咲きます。現在の諏訪湖の水は肥え過ぎているので、大きな株になると葉の丈が50センチ余となり、花は葉の陰となるかも知れません。また、大きなコイのいる池では根や古い葉をよく食うので、株はバラバラになったり、ひっくり返って繁殖が遅れます。炎熱時、濃緑色の光沢ある葉の間に咲くうすい空色の花は、清涼剤そのものです。
   (辰野日報・昭和59年7月29日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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