ホテイアオイ[1]──水の浄化に貢献

夏向きに水草のことを書きましょう。
ホテイアオイは水に浮かぶ草でうす紫の6弁花の花穂をヒアシンスのように咲かせるので、ウオーターヒアシンスともいい、熱帯原産の非常に繁殖力の強い水草。葉柄が太くふくらみ水に浮かびます。20平方メートルほどの株を2平方メートルくらいに集めると人が一人乗れるほど。これまで金魚鉢に浮かべて観賞するぐらいでしたが、米国フロリダの沼地では夏、一面の花盛りに観賞船が出るくらい。熱帯などではじゃまものの水草とされています。10年ほど前に先輩の宮崎市長を訪れた時、眼下の大淀川の水がきれいになっているので聞いたところ、上流の発電ダムにホテイアオイが繁殖して困っているが、下に落ちる水は澄んできたとのこと。水中の藻やプランクトンが、ホテイアオイが茂ると日が当たらないため、繁殖できないことと、ホテイアオイの吸肥力が強いので水中の窒素やリン酸などの下水処理で除去できない栄養分を吸収。また、魚の繁殖のためには、根から酸素を水中に放出する作用もあるようで、ホテイアオイを浮かべた金魚鉢の水が濁らず、金魚も元気なことは多くの人が見ているところです。
このことを利用して、諏訪湖の腐り水の浄化につき先年、南信日日新聞に投稿、そのコピーを全国の友人やいくつかの機関に送りましたが、千葉県では水源の手賀沼、茨城では霞ヶ浦などで早速試験開始、全国ではもう大分多くの所でホテイアオイによる浄化試験をはじめています。
   (辰野日報・昭和59年7月21日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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