春の植え替え──ハナショウブの水はたっぷり

前と重複してもよいから季節の事をもっと書けとの注文がある。何を書いたか忘れてしまい、書き足りなかった事もあるだろうしと筆を執っても重い事。
春植えかえてはいけない代表はボタンとシャクヤクで、秋まで待てたら秋植えすること。ハナショウブは全面植えかえの時は改植後灌水はたっぷりと半月は続ける。一般の多年草を植えかえたり、やったり、もらったりすることが多い。その場合古い込みあった所の細い芽で小根の少ない所は捨て、株の周縁の元気な所を植えよう。芽の長くのびないうちがよい。
クロッカスはもう終わり近いが、秋植え球根の名札は凍み上がっていないか。名札がなくなり、名前がなくなった品種は価値が下がるのみでなく、増やし、残したい品種の球根が分からなくなってしまう。名が分からなくなったものも花の咲いているうちに必要なものには名札や目印の棒などを立てておく。また、秋植え球根は開花によって精力を使い尽くし、やせ細っているので、葉の枯れるまでに次の球根を肥大させねばならない。追肥は促効性の窒素やカリを施す。花の終わったスイセンの葉を束ねてしまうなどは虐待もこの上なしの悪習である。
   (辰野日報・昭和59年4月29日掲載)

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