肥料の種類と効き方[1]──発育初期にリン・カリ不要

肥料にはいろいろなものがある。使い方によって効果があったり、少なかったり。ほかに使われてしまったり、水にとけやすいものは水にとけて地表や地中を流れ去ってしまう。水にとけて流れやすいのは尿素態の窒素とカリそしてカルシウムである。窒素肥料のうち尿素という名で売られている窒素肥料はうすめるとすぐ根や葉面からも植物に吸収されるが、硫安の窒素は土壌微生物によって尿素態の窒素に変成されないと植物の根には吸収されない。従って硫安を施した場合、植物に効きはじめるのは4、5日後である。尿素はすぐにも植物に吸われるかわりに、種子の発芽には大害があるので、播(ま)く数日前から苗が生えそろうまでは絶対に施してはならない。
生えた苗が肥料を必要とするのは双葉が開いてその間に芽が出来はじめ、主根から支根が出始めるころからであって、それまでは種子の中の胚乳とか子葉の中の貯蔵養分で育つのである。苗の発育初期にはリン酸やカリ肥料はほとんど不要で、与えた水にわずか含まれているだけで十分である。諏訪湖や辰野の天竜川の水は大変に濃い肥料水である。
   (辰野日報・昭和58年8月6日掲載)

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