挿し穂[1]──刃物には水をつけて

挿し穂をとる前に気をつけねばならぬ事が幾つかある。穂を母木からとるときは刃物や鋏に水をつけて切りとる。これは切り口の植物の栄養を上と下へ伝達する維管束という太い管の中に空気を入れないためである。切った切り口をすぐに乾かす必要のあるのがシャボテン類とシャボテンによく似たユーホルビアなど。キョウチクトウとかマダガスカル産のアデニュームは切り口に出てきた白い粘液は切り口を水につけて樹液を洗い流してから挿す。挿し苗はメネデールという薬を指示の通りうすめた水にさしておき、挿葉のしおれが止まったら挿すこと。
草物で1、2日、木物では数日以上たってから挿す。挿すときには、発根ホルモンを切り口と穂の下端に1センチくらいぬりつける。あまりたくさんぬるとかえって発根をおくらせる。余分は払い落とすくらいでいい。市販の発根剤は、ルートンとかオキシベロンは種苗商から入手できる。オキシベロンは今年のびた新梢等の軟らかい挿穂には0.5を使用する。挿した穂がしおれてきたらもう一度水揚げをしてから挿す。
   (辰野日報・昭和58年7月16日掲載)

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