マツモトセンノウの復元──新しく作る意欲を

赤系では花首のそろった丸弁でさえた色の赤を選抜できた時、深志高校の生徒がはやる心で赤き血潮を奥穂の稜(りょう)線で雷雨に散らしたのを記念して深志と名づけた。
この2品種が現在日本で売られているマツモトセンノウの基本型である。深志は赤葉で白雪姫は青葉で、共に丸弁大輪で茎頂に群がって咲き整った容姿である。その後昔の記録にある八重咲き種はまだできない。しかし記録にない桃色とか、青葉で紅あるいは橙色花またはそれ等の絞入りはできているものの、そのいずれを品種名をつけて発表発売するかに迷っている。
ただちょっと変わっているから新品種として発表発売されることが多いが、それはただの金もうけの園芸屋であって永続するものではない。多くの人が100年近くかかって作りあげたものを一人が片手間仕事で30年でなしえるものではないが、ともかく、昔の日本人が作りあげたものはやはり日本人の手で再現あるいはより発展させたいものと思うが、マツモトセンノウの故郷は信州松本であることを認めさせるように同好の士を求めてやまない。
ただほうぼうの商社や友人の持っているものを求めて楽しむのみでなく、今年は新しいものを作り出して見ようという意欲で、出発してほしいものである。
   (辰野朝日新聞・昭和58年1月8日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏 (群馬県前橋市)

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