植物の根[3]──直根性と浅根性の植物

根の話が続く。自然に生えた植物はまず太い根が地中深く伸びるカキ・モモ・クリ・松や大根・ニンジンなどが代表で、まず地中深く直根を伸ばしてから周囲に小根を出し、樹木では壮齢期以後に横に根を張る。若いうちに移植などでこの直根が切られると一時的に上長生長は鈍り、代償的の直根はできない。メタセコイアは大きな樹を植え替えてもすぐ直根ができるので、盛土の崩壊を防ぐのには最高の木である。リンゴや杉・ヒノキや一般の花は初めちょっと直根がでてもすぐに横根が分岐しつつ伸びる。ツル性の植物は特に横に伸びる。土が浅いと特に浅根となり、夏の乾燥に弱い。ブドウ・カボチャなどは根が浅いからといって浅く耕しては夏の乾害に弱いから少なくとも30センチの深さに広く耕し施肥を必要とする。ツツジやシャクナゲは特に土の中に空気が必要で、火山性の砂の富士砂や桐生砂などと腐葉土やピートを混ぜて少なくとも50センチの深さに耕しこむと生長がよい。こんなことが植物を育て、施肥する基準となる。
   (辰野朝日新聞・昭和57年10月30日掲載)

あなただけの大切な本を作ってみませんか―中央印刷がお手伝いいたします

箔を使った「風林火山」の扇子をつくりました。ご覧下さい。

園芸事はじめ/信州でガーデニングを楽しむためのエッセイ集