植物の根[1]──根本より深層施肥を

植物の根がどのくらい伸びるかを知っておきたい。チューリップや玉ネギを早く植えると冬中に1立方メートルぐらい小根をはびこらす。両方1本根で枝分かれしない。一度切られるとその根はもう伸びない。そして両方とも冬から4月中旬までは根が水びたしくらいでないと根は伸びないし、翌年の葉も花も小さい。大きい球を遅く植えても根が伸びないので小球を今植えた方が大きな葉と花をつける。秋植え球根はラナンキュラスを除いて冬中乾かない方がよい。
樹木の根は晩秋から冬にかけてと、春に最もよく伸びる。昔、天然林で根の調査をした結果、古人のいうとおり広葉樹の老大木は樹高の5倍以上も谷に向かい、上側は尾根に向かって4倍以上伸びていたのを確認した。リンゴやナシの良い果樹園は根際の方から1メートル幅1メートル深さに深耕して深層施肥している。土の中に空気が通っていると花も各種の木も長く伸びて、よい実や花をつけるのである。根元に少しばかり施肥するより、庭の植木の間に年々所を変えてタコつぼを掘り、土の中へ空気を送るとともに深層施肥をするようにしよう。
   (辰野朝日新聞・昭和57年10月16日掲載)

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