越冬設備[2]──防寒箱の準備を

辰野の冬の特徴は松本諏訪と異って、昼間日さえあたれば暖かいが、夜から早朝にかけての低温は諏訪や軽井沢と同じか時には低温のことがあり、甚だしい時は最高最低の温度差が20度以上あり、しかも空気が乾燥していることである。戸外にくらべて屋内は更にその差が甚だしい。従って屋内で花や葉を楽しみながら冬を過ごすことはなかなか大変な作業である。
戸外でいろいろのものが凍み枯れる現象の中には常緑樹のイヌツゲ(当地でツゲと誤称している)やシャクナゲは北の乾いた寒風で、下の根や幹枝は水を吸いあげられず、葉は乾きすぎて枯れるのである。室内はそれ以上に昼間は暖かく乾くのであるから、いろいろの植物は温度管理と共に空中水分の不足で育ちにくくなる。シクラメンのいわゆる温度でぬくぬくと育ったものが家に入ると数日で葉も花も冴えぬ色になってくる。この症状は空中水分の不足と日照不足が第一で、次に夜間の温度不足である。
こうした花や植物を守るには戸外の固定設備のない場合は近頃は発泡スチロール等の容器とか防寒用の建築材料がたくさんあるので、小さいものはその箱に、大きいものはガムテープで張り合わせた箱に入れる。晴天時は前とか上をはずして十分に日光にあて、夜に入る前に密閉する。底には湿った布等を敷いて空中湿度を高めたい。ダンボール箱の大きいのをかぶせるだけで冬越し出来るものがある。今から昼間を高温にしすぎないように慎重に管理しておく。
   (辰野朝日新聞・昭和56年10月24日掲載)

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