秋咲き球根──風変わりなものも

秋咲きの球根植物は身近のものと風変わりのものが多い。
ヒガンバナの類で一番早く咲くのはナツズイセンで盆前後に咲き、葉は早春に出る。外国では貴重品で数年毎に多量に輸出される。6月掘って机上で黒光りする球根と桃色の花を楽しむ。
キツネノカミソリは墓地や日陰山で8月咲くが、世界的には貴重品である。
ヒガンバナは暖地では彼岸ごろに土手などに赤い花を群開する。市販はないが、当地では暖かい所に植えつければ越冬できる。
おもしろいのはコルチカム(イヌサフラン)であって、園芸品種が多い。褐色の大型の球根で、球根をそのまま机上に置いて花を楽しめる。唯光線の少ない所では白い花になり、明るい所ほど特有の桃や藤色が濃くなる。花が咲き終わるまで水は必要でない。八重咲きのウォーターヒアシンスは10月咲きである。地植えで掘りあげず咲かせるのも美しい。掘りあげて咲かせた球根は、花が終わったら深さ15センチの穴を掘り、球根が見えなくなる程度に覆土する。翌春に葉が30センチ以上のびてから土寄せをすると、球根の下が平らな良い球根ができる。
キバナノタマスダレ(ステルンベルギア・ルテア)はクロッカスの様な純黄の花を9月に咲かせる。日当たりの良い所なら容易に当地でも越冬する。
まだ秋咲きの夏植え球根は色々あり、次第に市販されるようになった。
   (辰野朝日新聞・昭和56年8月8日掲載)

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