水やり──「たっぷり灌水」が必要

水やり3年といいますが、水さえたくさんやっていれば良いというものでなし、その植物の性質に従って必要な時とやってはいけない時とあります。鉢植えにしている植物の中には一年中生育に必要な湿度と灌(かん)水を必要とするものとある時期だけたくさんの水が必要でもその他の時はほとんど水の必要でないというより、施してはいけない植物まであります。
普通の庭木や草花の露地植えのものは土に湿り気があれば灌水の必要はありません。水道の水をジャブジャブやれば土はしまってくるし、根は空気不足で腐ってきます。また乾いている時小さな如露(じょろ)で少し位水をまいても、下の根のある所までは湿らず、すぐ乾いてしまいます。したがって、毎日少しずつ灌水するよりはたっぷり灌水したあとは乾き具合を見て次の灌水をします。
植物の種類と土の状態に従っての灌水を必要とするため、人によって灌水の癖があり、ある植物は水の量が適当のためによく育ち、あるものは灌水量の過不足から良く育たなかったり、腐るか枯れることがあります。
湿度や光線等の過不足等でいろいろの失敗の原因はありますが、灌水の過不足の失敗は非常にたくさんあります。人のを見たり教わってもなお本人の灌水癖でよく育たぬのをよく見受けます。よく観察すれば短期間で水やりはわかるものです。はじめて作る植物については水が多く必要な植物か乾き気味が好きな植物かをよくしらべて見ましょう。空中の湿度も生育に関連しますから注意が必要です。
   (辰野朝日新聞・昭和56年5月23日掲載)

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